透析専門施設勤務。腹膜透析・血液透析の機器管理・レセプト確認を担当。
保有資格:臨床工学技士免許(国家資格)| 筆者プロフィール詳細はこちら
📋 この記事でわかること
- ✅ 指導管理料「1(4,000点)」と「2(1,500点)」の算定条件の違い
- ✅ 頻回指導加算(+2,000点)が取れるケース・取れないケース
- ✅ 血液透析(HD)を同月に行った場合の注意点(注1の規定)
- ✅ 連携施設が「2」を算定するために必要な施設基準届出
- ✅ レセプト作成時のチェックリスト(新人CE・医療事務向け)
※ 本記事は主に新人CE・医療事務担当者向けです。患者さん向けの解説は文中リンクをご参照ください。
C102「在宅自己腹膜灌流指導管理料」の1(4,000点)はPD治療のメイン施設が算定し、2(1,500点)は書面依頼を受けた連携施設が算定します。この2つを混同したレセプト請求は返戻・査定の直接原因になります。本記事では臨床工学技士20年の経験をもとに、2026年改定後の算定条件と現場での落とし穴を具体例付きで解説します。
⚠️ 本記事は算定の考え方を解説する情報提供目的です。個別の算定判断は審査支払機関・地方厚生局または院内の医療事務責任者にご確認ください。本記事は2026年4月改定告示に基づいており、内容は予告なく変更される場合があります。
C102「在宅自己腹膜灌流指導管理料」とは?
在宅自己腹膜灌流指導管理料(C102)とは、自宅で腹膜透析(PD)を行っている入院中以外の患者に対し、医療機関が継続的な管理・指導を行ったことを評価する診療報酬点数です(出典:厚生労働省2026年度診療報酬改定告示 第2章第2部C102)。
患者さんは在宅で透析液を自ら交換しますが、その裏では医療機関が透析液のオーダー確認・トラブル対応体制・感染兆候のモニタリングを行っています。その「見えない管理の責任」に対して支払われる点数です。
基本点数と算定回数
| 区分 | 点数 | 算定回数 | 算定施設 |
|---|---|---|---|
| 指導管理料1 | 4,000点 | 月1回 | PDの治療方針を主導するメイン施設 |
| 指導管理料2 | 1,500点 | 一連の治療につき2回まで | 依頼を受けた連携(サブ)施設 |
※ 点数は2026年4月現在(出典:厚生労働省診療報酬改定告示)
「1」と「2」の違い:メイン施設とサブ施設の役割分担
指導管理料1と2の最大の違いは、「その施設がPD治療の主導権を持っているかどうか」です。野球で例えると、1を算定するのが「監督(全体の指揮)」、2を算定するのが「コーチ(部分的なサポート)」のイメージです。

指導管理料1の算定条件(メイン施設)
- PDの治療方針を決定し、継続的にメイン管理を行う施設
- 入院中以外の患者に対して指導管理を実施していること
- 毎月算定するのが基本。多くの場合は基幹病院・大学病院・PD専門クリニックが該当
指導管理料2の算定条件(連携施設)
- 指導管理料1を算定している他の医療機関から、文書による依頼を受けていること
- 事前に地方厚生局へ施設基準の届出が完了していること(届出なしは算定不可)
- 一連の治療につき2回まで算定可能
📝 ベテランCEの現場メモ
私が経験した例では、遠方の大学病院(管理料1)から「出口部感染疑いのため近医での対応を依頼する」という書面が届き、当院(管理料2)で対応したケースがありました。この依頼文書の保存が、後の査定対応における証拠になります。依頼を口頭だけで受けて算定すると、審査で返戻される可能性があるため注意してください。
同一患者に「1」と「2」が同月算定される具体例
患者Aさんは普段、札幌の大学病院(週1回通院)でPD管理を受けています(=管理料1を算定)。ある月、カテーテル出口部が赤く腫れたため、大学病院から「近医クリニックで確認してほしい」と書面で依頼が来ました。地元の連携クリニックが診察・指導を行った場合、そのクリニックが管理料2(1,500点)を算定できます。この月のレセプトには「管理料1(大学病院)+管理料2(連携クリニック)」の両方が立ちます。
頻回指導加算(+2,000点)の算定ルールと注意点
頻回指導加算とは、腹膜透析患者にトラブルが発生し、通常より多い指導・管理を行った月に加算できる点数で、指導管理料1を算定している施設が月2回まで2,000点を上乗せできます(出典:厚生労働省2026年度診療報酬改定告示 C102注2)。
頻回指導加算が算定できるケース・できないケース
| 区分 | 条件 | 算定 |
|---|---|---|
| 通常月 | 管理料1のみ | 4,000点 |
| 頻回指導あり(1〜2回) | 管理料1+頻回加算×2 | 最大8,000点 |
| 頻回指導あり(3回以上) | 算定上限は2回まで | 8,000点(上限) |
📝 ベテランCEの現場メモ
実際に患者さんから深夜に電話相談を受けた月に頻回指導加算を算定した際、「電話指導の時刻と内容がカルテに記載されているか」を審査で確認されたことがあります。記録の精度が加算の可否を左右します。電話対応時は必ずカルテに「〇時〇分、〇〇の訴えあり、〇〇を指導」と時刻・内容を残す習慣をつけましょう。
HD(血液透析)を同月に行った場合の除外規定(注1)
同じ月に人工腎臓(J038:血液透析)を行った場合、頻回指導加算の2回目以降は算定できません(注1の規定)。これは「HDのために来院した際、同時にPD指導もできるため、点数が重複する」という考え方によるものです(出典:厚生労働省診療報酬改定告示 C102注1)。
ハイブリッド透析(PD+HD併用)の患者さんのレセプトを作成する際は、HD施行月かどうかを必ず先に確認してください。
レセプト作成時のチェックリスト【新人CE・医療事務向け】
私のクリニックでは毎月末に、PD患者一覧表を確認し、①連携施設からの依頼文書の有無、②HD同月施行日、③頻回指導の記録回数の3点をルーチンチェックしています。このリストを医療事務スタッフと共有することで、返戻・査定が大幅に減りました。
連携施設(管理料2)算定前の確認事項
- ☑ 管理料1を算定している施設からの書面による依頼があるか
- ☑ 自施設が地方厚生局へ施設基準届出を完了しているか
- ☑ 同月に他の施設が管理料1を算定していることを確認しているか(同一施設で1と2の重複算定は不可)
管理料1算定施設のレセプト記載のコツ
- ☑ 頻回指導加算を算定する月は、カルテに指導日時・内容・回数を明記する
- ☑ HD同月施行の有無を先に確認し、注1の規定に該当しないか確認する
- ☑ 点数は2026年4月現在の告示に基づいていることを定期的に確認する
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よくある質問(FAQ)
Q1. 指導管理料1と2は同一施設で両方算定できますか?
できません。同一施設が同一患者に対して1と2を同月算定することは認められていません。1を算定する施設と2を算定する施設は、必ず異なる医療機関である必要があります。
Q2. 連携施設(管理料2)の算定には施設基準の届出が必要ですか?
必要です。地方厚生局への施設基準届出が完了していない施設は算定できません。「患者を診たから算定しよう」は通りません。届出書類名は「在宅自己腹膜灌流指導管理料の施設基準に係る届出書」です(届出先:各地方厚生局)。
Q3. 同月にHD(血液透析)を行った場合、頻回指導加算は一切取れませんか?
1回目の頻回指導加算(+2,000点)は算定可能です。注1の規定により算定できなくなるのは「2回目以降」の頻回指導加算です。指導管理料1(4,000点)そのものはHD同月でも算定できます。
Q4. 腹膜透析患者が入院した月は指導管理料を算定できますか?
算定できません。C102は「入院中以外の患者」を対象としているため、入院月は算定不可です(出典:厚生労働省診療報酬改定告示 C102の定義)。入院と外来が混在する月は特に注意が必要です。
Q5. 管理料2の「一連の治療につき2回まで」の「一連」とはいつからいつまでですか?
告示上は「一連の治療期間」の明確な期間定義はされていません。連携が開始された診療経過の文脈で判断されます。不明な場合は審査支払機関または地方厚生局に確認することをおすすめします。
💡 まとめ:管理料1と2のポイント
- 管理料1(4,000点)=メイン施設が毎月算定。治療方針の主導責任を持つ
- 管理料2(1,500点)=連携施設が書面依頼を受けて算定。施設基準届出が前提
- 頻回指導加算(+2,000点)=管理料1施設のみ・月2回上限。カルテ記録が必須
- HD同月施行=頻回指導加算の2回目以降は算定不可(注1)
算定に不安がある場合は、審査支払機関または地方厚生局へ直接確認することを推奨します。


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